Sponsored Links
受験の日、母に送られて玄関を出て、
門を出たところで、ふいに
「(私)ちゃん!」と呼ばれた。
それも、高いところから、
右から左に横切って行くような声で。
えっと思ってあたりを見回しても、
誰もいない。
母ももう家の中に入っていて、
門も玄関も閉まっている。
空耳?神経が張っておかしくなってるかな?
とそのまま試験に行った。
Sponsored Links
その年は寒くて、合格発表の日、
朝に庭に出てみると、
紅梅はまだ2,3輪しか咲いてなかった。
でもいいや、一番咲きの花を届けるよ!
と発表を見に行くと、合格していた。
学校に報告に行き、友達と喜び合い、
それから、
やったー!おばあちゃん、
紅梅持っていくからね!
と踊るように走って帰ってくると、
玄関を開けた途端、近所に住んでいる叔母が
泣きながら出てきて、
「おばあちゃんが……」
生まれて初めて、腰を抜かした。