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【考える】主治医「癌です」 Aさん「へぇーそれは驚きました!わからないもんですなあ」

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とはいえ、癌の化学療法を新米医師が
全て担えるわけがない。
細やかな治療方針や薬の投与量などは、
私の上級医が指導・決定してくれていた。
その分私は、日々の診察や採血や
検査結果説明など、
はりきってAさんの病室へ通った。
そのたびにAさんは笑顔で、
その日の体調なんかを教えてくれていた。

 

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幸いなことに、
Aさんには化学療法が良く効いた。
しかも、心配されていた副作用も
軽度ですんだ。
治療前にさんざん、吐き気や倦怠感が
予想されることを説明していたのに、
病院食をあらかた平らげたAさんは、
「すこし胃のあたりがムカムカしますけど、
 これは食べすぎですよね」
と言って笑っていた。

 

予定されていた化学療法のコースが終わり、
画像で効果判定をする日。

 

癌は見事なまでに縮小していた。

 

私は声を上げて喜んだ。
さっそくAさんにそれを伝えに行った。
でもAさんは狂喜乱舞するってわけじゃなく
「ほっほーぅ、それは良かった。
 おかげ様ですなあ。
 では一時退院できますかな?」
と目を細めた。

 

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