Sponsored Links
ところが、その部屋で寝起きしている
佐藤さんだけは、老婆の幽霊を見ない。
親父と鈴木さんが
「佐藤、変なもの見たことないか?」
というと、佐藤さんはきょとん
とするばかり。
Sponsored Links
引っ越して1ヶ月し、
親父と鈴木さんが黙っているのも
悪いと思って、老婆の幽霊を
佐藤さんに話した。
すると、佐藤さんは
「うーん」と考えてから、
みかん箱を部屋の中に置いて、
上にワンカップを置いて、
「先に住んでいるおばあさん、
ごめんなさい。
でも、俺は貧乏だから、
どこにも行き場がない。
だから、申し訳ないけど、
大学を卒業するまでは、この部屋に
住ませてもらえないでしょうか?
毎日、お供え物をするのは無理だけど、
田舎からお茶とお米だけは
送ってくるので、それだけは供えます。
バイト代が入った時には、
お花を一輪と、ワンカップをひとつ
買ってきます。
どうか、よろしくお願いします」