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事の始まりはこの折鶴だ。
幼い頃、母が一度だけ
入院した事があった。
その時私が折鶴に願いを託し、
天井裏に置いたのだ。
間もなく母は退院した。
偶然なのだろう。
でも私にはドラえもんの
ポッケのような空間だった。
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誕生日やクリスマス前に
願い事を天井裏に置いておくと、
プレゼントは希望のものだった。
今考えるとカラクリは単純だ、
赤面モノである。
両親からの愛情が決して
不平等ではなかったのだと、
改めて感謝する。
ふと、あの天井裏が懐かしくなった。
30年ぶりだろうか、
懐中電灯を片手に昇ってみた。
もう、そこには何も無い、
深い埃だけが時の経過を教えてくれた。
しばらく思いに耽り、
降りようとしたとき、
それは視界に入った。